この記事では「人間失格(著者:太宰治)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
また、一緒に「人間失格の読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
太宰治の人間失格。実は読んだことがない…という人も多いのでは?誰でも持っている心の弱さを題材にした作品。読んでみる価値はありますよ。
人間失格の登場人物
大庭葉蔵:物語の主人公で、東北地方のお金持ちの家の息子。
人間不信な一面があり、精神的にもろいのだが、あえて道化を演じ振舞うことで人との良好な関係を保とうとしている。
美男子であるため、多くの女性問題を起こすことになる。
竹一:葉蔵の同級生。道化を演じている葉蔵を見抜いた唯一の人物。
堀木正雄:葉蔵と同じ画塾の生徒で6つ上。葉蔵を悪い交友関係に誘い出す遊び人。
ツネ子:カフェで働く女性で、葉蔵と入水自殺を図り一人だけ死んでしまう。
シヅ子:雑誌の記者で、絵が得意な葉蔵に漫画を描くことを勧める。
マダム:葉蔵が行くバーを経営している。葉蔵に温かく接してくれる。
ヨシ子:マダムがいるバーの向かいにある煙草屋の娘。人を信じやすい性格。
ヒラメ(渋田):葉蔵の父と繋がっており、葉蔵の身元保証人となっている人物。
人間失格のあらすじ(簡単な話の内容)
物語はある男が写った三枚の写真から始まります。
幼年時代・学生時代・奇怪な写真の三枚を並べて、各時代を生きた彼の印象が語られていきます。
幼年時代は、かわいらしいけれどどこか気味が悪く、何を考えているのか分からないような子どもの写真。
学生時代は、美形の顔立ちではあるものの、生気を失ったように見えるこちらも気味が悪い少年の写真。
奇怪な写真は、白髪頭の男性が写っている写真となっています。
写真に写っている男性は全て同一人物。
彼は、他人の気持ちに関して繊細に捉えてしまう傾向があり、それ故お酒や薬、女性関係に溺れてしまうようになります。
最終的には脳病院(現代の精神科病棟)に入院することになってしまうのですが、そんな自分を振り返り「人間失格」という烙印を押すようになるのです。
人間失格を読みにくいと感じる人は「漫画から読んでみる」という裏技もあります。漫画ならサラッと読めるので読みやすいですよ。
本のテーマ(主題)
・哲学
・現代文学
・恋愛
・恥や嫉妬など、人間の醜い感情
読書感想文の書き方やコツ
・「第一の手記」「第二の手記」「第三の手記」に物語が別れているため、具体性を出すためにどれかに絞って感想を書くとスムーズ
・人間の恥や嫉妬、裏切りなど、どろどろした感情が多いため、自分の実体験と照らし合わせて書くと書きやすくなる
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)
題名(タイトル):人間失格と決めつける怖さ
「恥の多い生涯を送って来ました。」
という言葉から始まったので、なんて暗そうな物語なんだろう…と思わず読むのを躊躇してしまいそうでした。私も恥ずかしい思いや、人に言えない悩み、一人で考え込んでしまうことなど今まであったけれど、はっきりとここまで言い切るほどではないと思ったからです。
でも、物語の主人公葉蔵は、ものすごく人間不信な人物で、それを隠すために道化を演じています。この部分は何だかわかる気がすると思いました。
私も、部活や家で険悪な雰囲気になったときにわざとおどけてみたり、明るく振舞ったりしたことがあったからです。でも、それはその場を乗り切るためにしたことだから、後々後悔したりとか思い出して恥ずかしくなったりとかしたことはありませんでした。
でも葉蔵は違っていました。そんな道化を演じている自分が周囲に見透かされることを常に恐れ、表面上は明るいのだけれど心の中はすごく暗いという状態になっていたのです。
実際、同級生の竹一に道化を見透かされたときは、消えてしまいたいほど恥ずかしく辛かったのではないでしょうか。葉蔵は、自分を見抜いた竹一と親友になるのですが、もしかすると飾らなくていい自分をさらけ出す相手ができたことが少しほっとしたのではないかと私は思います。
私にも、親友がいます。中学に入ってから出会った彼女には、親や他の仲間には言えないことも話せることが多いです。それに彼女も、私にいろいろな悩みや相談事を打ち明けてくれることがあります。私たちは、毎回解決策を見いだせているかと言われるとそういうわけではないのですが、でも、悩んでいたことを誰かに聞いてもらえるというだけで心は随分軽くなるのです。
だから葉蔵も、人間不信で辛く重くなってしまった心を開放させたくて、竹一と親友になったのかもしれないと感じました。実際竹一は、葉蔵の本質を見抜いていたと思います。「女に惚れられる」「偉い画家になる」という竹一の言葉は、全てその後の人生に起こることとなったからです。
葉蔵はその後、堀木と出会うことでどんどん闇の世界に足を踏み入れるようになってしまうのですが、そこから抜け出そうとはなかなかしません。明るい所にいた方が、心も体も健やかになって気持ちいいはずなのに、どうして葉蔵はこんな暗くてジメジメした世界に居続けようとするのだろう。私はそんなことを不思議に思いながら読み進めていきました。
でも、途中から気付いたのです。葉蔵が闇の世界から抜け出せないのは、自分で自分のことを「人間失格」だと決めつけているからなのだと。自分の居場所はここなんだと決め込んでしまうと、人はそこから離れなくなるし動こうとすらしなくなるのだと思います。
私自身、テニスの試合で「絶対に勝てる。このボールは絶対に打ち返せる」と思うと、いくら疲れていても本当にボールを打ち返せて相手に勝てたりします。でも逆に「もう無理だ。この試合は負けてしまう」と思うと途端に手足が重くなり動かなくなるんです。これは試合だけではなく、練習中も一緒です。「もっとやれる」と思うともっと頑張れるし、「もうダメだ」と思うとそれ以上身体が動かなくなります。
だから、本当は周りに合わせることもできた葉蔵なのに、心の中に「自分はこういう暗い世界が似合っている。」「ここから離れると不幸になる。」という考えがあることでずっとその場に停滞してしまったのだと思います。
結局葉蔵は、自殺未遂という決してやってはいけないことをしてしまいます。一緒にいた女性のツネ子だけが死んでしまうという結果に終わったため、葉蔵はますます深い闇の世界に落ちていくのだろうと感じました。
この物語を読んで私が思ったことは、人は自分の思っているように行動し、そういった性格になっていくということです。「自分なんてだめだ、人間失格だ。」そう思い込んでしまった時点で、そこから先の可能性や得られるかもしれなかった明るい未来は一気に消えてなくなるのではないかと思いました。
人間失格と決めつけることの怖さを、葉蔵の一生を通して学ぶことができたように思います。私には立ち直る力がある、助けてくれる人が周りに必ずいる。こういう気持ちを忘れないようにして、これからの中学校生活やその先の未来も生きていけたらと考えるようになりました。
人間失格は人によって色々な解釈ができますよね。あなた自身が感じたことを素直に書きましょう!
*コピペ、パクリ、丸写し、無断転載は禁止ですよ。参考にする程度にしておきましょう。
人間失格の読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
太宰治の人間失格は「人の醜い心」が一つのテーマでもあります。
自分の心の弱さと向き合った感想文を書いてみるのもオススメですよ。
頑張ってくださいね。
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