サン=テクジュペリの名作、星の王子さま。
フランスの作家で、飛行士の資格も持っていた彼は物語の中にも自分と似た人物を登場させています。
児童向けの書籍でありながら、多くの人々の心を魅了する星の王子さまの物語。
ここでは、そのあらすじや名言、物語から分かる教訓などを解説していきます。
世界中から愛される星の王子さま。一度は読んでみる価値がありますよ。
星の王子さまの登場人物
星の王子さまには、多くの魅力的なキャラクターが出てきます。
ここではそれらを簡単にご紹介していきます。
ぼく
飛行機の操縦士。
1週間分の水しか持っていない状態でサハラ砂漠に不時着してしまい、孤独で不安な夜を過ごす。
その翌日王子さまと出会い、たくさんの話を聞くこととなる。
王子さま
ある小惑星から地球にやって来たという少年。
王子さまの住む小惑星は、家くらいの広さで3つの火山・巨大なバオバブの芽・どこか違う星からやってきた一輪のバラの花しかない。
王子さまは地球に来るまでに他の小惑星もいくつか旅をしており、そのことを「ぼく」に話してくれる。
バラの花
王子さまの小惑星に咲くバラの花。
王子さまと喧嘩してしまう。
ヘビ
王子さまが地球に来て最初に出会った。
元の小惑星に帰るために、このヘビに噛まれて体を地球に置いて帰ることとなる。
キツネ
地球で出会った王子さまの友達。
地球に来て、落ち込み悲しい出来事に遭遇した王子さまを元気づけてくれる存在となる。
王子さまに生きていくうえで大切なことをたくさん教えてくれる。
あらすじ
子どもの頃から、自分の描く絵の内容を大人に分かってもらえず、その後も心底気持ちが通じる相手とは出会わず過ごしてきた「ぼく」。
飛行機の操縦中に誤ってサハラ砂漠に不時着してしまいます。
そこで一人の少年と出会い、色々なことを話す2人。
ふいに「ぼく」は子どもの頃書いたものの周りに理解してもらえなかった「ゾウを飲み込んだウワバミの絵」を王子さまに見せてみます。
すると、その絵について理解を示してくれた王子さま。
やがて2人は心を通わせ合い、「ぼく」は飛行機の修理をしながら王子さまの小惑星のことや、今まで周って来た星、地球に来てからのことを聞きます。
王子さまが今まで訪れた星は全部で6つ。
そこで個性的な人たちと出会います。
一つ目で出会ったのは「王様」です。彼は偉そうに命令をする人で、自分の体裁を保つことに必死な人物です。
二つ目は「うぬぼれや」です。自分が褒められることのみを考える人で賞賛の言葉を求める人物です。
三つ目は「酔っ払い」です。お酒を飲むことを恥じてやめたいと思っているのですが、その恥を忘れるためにまたお酒に手を出すという人物です。
四つ目は「ビジネスマン」です。夜空の星を所有しており、その権利を主張します。また、どれだけ多くの星を所有しているかを常に考え数え続けている人物です。
五つ目は「点灯夫」です。1分間に一度ずつガス灯の点火と消化を行っている人物です。
六つ目は「地理学者」です。実際の土地は見たことがなく、ひたすら書斎にこもって勉強をし続ける人物です。
そんな話を面白可笑しく聞きながら、「僕」にとって王子さまは大切な存在となっていくのです。
ですが、王子さまが地球にやって来てそろそろ1年という頃。
王子さまはある決断をします。
その決断とは、地球にやって来た1年前と星の配置が同じときを狙ってヘビに噛まれることで、自身の体を捨てて小惑星に帰るということです。
それを聞いて、王子さまとの永遠の別れを確信し悲しくなる「ぼく」。
しかし王子さまは、「きみは夜空を見上げて、その星のどれかの上で自分が笑っていると想像すれば良い。」と「ぼく」を諭します。
そして、ヘビに噛まれ砂漠に倒れるのでした。
翌日、「ぼく」が王子さまを探すとその体はもう跡形もなくなっていました。
「ぼく」は、王子さまは自分の星に帰ったんだと思い、それから夜空を見上げます。
王子さまのことを考えて見上げる夜空は今までとは違って見え、王子さまが教えてくれた色々なことを大切にしていこうと思う「ぼく」なのでした。
星の王子さまはアニメ化もされています。こちらもオススメですよ!
名言
名言1
「大人たちは、数字を見れば安心するからです。」
物語の中で、大人たちは
「バラ色のレンガでできた、とても美しい家を見ました。窓にはゼラニウムの花が飾ってあり、屋根には鳩がとまっていました。」
と言っても、どんな家なのか全く想像がつかないだろうと語る部分があります。
それよりも、「1億2千万円の家を見ましたよ。」と言った方が、大人たちは想像してくれ、それは素晴らしい家だ!と絶賛するだろうと。
物事の本質に対して大人たちは質問しないということを王子さまは言っています。
確かに、大人になると数字にこだわって会話をすることが多くなりますよね。
「好きな色は?」「好きな動物は?」「最近楽しかったことは?」といった相手の本質を聞き出すような質問は、しなくなってしまうなということを思わされます。
名言2
「バラの言葉ではなくて、バラの行動に基づいて判断すべきだったんだ。」
バラと喧嘩して地球にやって来たときに王子さまが気づいたことです。
王子さまをいつも振り回す存在だったバラで、意地悪な言葉もたくさん言ってくるのですが、その行動の中には愛が溢れていたということに気付かされた王子さま。
実際私たちの周りにも、言葉は不器用だけれど実は優しい人っていますよね。
名言3
「あの花は、どこにでもある普通の花だったんだ。」
小惑星で大切にしていた一輪のバラが、地球では何千本と咲いていたことを知った王子さまの言葉。
とてもショックを受け悲しくなるのですが、自分の特別に思っていたことは周りからすると大したことではなかったというのはよくあることです。
その事実を受け止めてからの行動が大切になると気づかされる台詞でした。
名言4
「もし君がぼくと絆を結んだら、ぼくたちはお互いを必要とすることになる。」
キツネが王子さまに言った言葉です。
それまでは、ただ通りすがって顔を合わせるだけの人物でも、お互いのことを知り、絆を結んだら必要な相手となっていきますよね。
世界中にはたくさんの人がいるけれど、その人たちと丁寧に向き合って絆を結んでいくことの大切さに気付かせてもらえる台詞です。
たった1人の存在を大切にするということができてない大人も多いと思うので、はっとさせられる名言ではないでしょうか。
名言5
「大切なことは、目に見えないからね。」
地球で王子さまがキツネと出会った時に言われた言葉です。
星の王子さまの名言中の名言とも言え、物語の核はこの言葉の中に詰まっているとも言えます。
物事は心で見て、目に見えるものだけで判断してはいけないということを学べる台詞です。
名言6
「君がバラのために使った時間が長ければ長いほど、バラは君にとって大切な存在になるんだ」
キツネが王子さまに言った言葉です。
時間をかけてバラを愛してきたことは無駄ではない、時間をかけて情熱を注ぐことこそ大切なことだという事実に気付かせてくれる台詞です。
名言7
「子どもたちだけが、自分が何を探しているか知っているんだね。」
王子さまの言葉です。
大人になると、何がしたかったのか、何が好きだったのか分からなくなることも多いはず。
一度子どものころのことを思い出してみると、新たな発見があるかもしれません。
教訓
物事の本質を見ていますか?
大人になると、物事の本質から目を逸らしがちになります。
忙しい日々を送っていると、その場しのぎの会話や分かりやすい判断基準をしがちになりますよね。
でも、そこで一旦立ち止まって考えてほしいのです。
「私は今、目の前のこの人のことを本当に分かっているだろうか。」
「数字ばかりに思考を取られて、大切なものを見失っていないだろうか。」
こうやって本質を見ようと意識することで、相手との関係の中に本当の興味というものが生み出されます。
仲良くなりたい相手がいるとき、「あなたの人生の目標は何ですか?」「最近食べたおいしいものは何でしたか?」といった、相手の本質を知りたいという好奇心のある質問を投げかけてみてはいかがでしょうか。
目に見えるものだけで判断しない
「大切なことは目に見えない」というキツネの名言にもあるように、目に見えるものだけで全てを判断していると自分の世界はどんどん狭くなっていきます。
そして、その判断基準がやがて大きな後悔を生むことも。
何か決断に迷った時は、データや実績を集めるのもよいのですが、直観力を信じて決定してみるということも大切なことなのです。
何かを大切にしてきた時間こそが大切なものである
王子さまがバラとのことを思いながら気づいた教訓です。
家族や友達、恋人、仕事仲間たちとの関係は一朝一夕で築き上げられるものではありません。
互いが互いを思いやり、大切にし合うからこそより尊重していくことができるのです。
そのためには、時間を惜しまないことが大切。
何かを大切に思って行動しているその時間こそが、尊いものであるということを教えてくれています。
星の王子さまが伝えたいことまとめ
いかがだったでしょうか?
世界中にファンが多い星の王子さま。
哲学的な内容なので「少し読みにくい」と感じる人もいるかもですが、「目に見えるものだけで判断せず、物事の本質を捉える」というメッセージが隠されています。
ぜひ一度は読んでみてくださいね。
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