この記事では「この世界の片隅に(原作:こうの史代、小説:藤田陽平)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
また、一緒に「この世界の片隅にの読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
戦争ものではありますが、平和の大切さうんぬんを抜かしてもぜひ子供に読んで欲しい1冊です!
この世界の片隅にの登場人物
北條すず(旧姓:浦野):大正14年生まれ。彼女の記憶にある広島の街の中は賑やかで栄えている街だった。絵を描くことが好き。18歳で思いがけず結婚することになる。
北條周作:すずより4歳年上の夫。海軍・呉鎮守府の軍法会議録事を務めている。幼い頃にすずと会ったことがあり、運命的な出会いから結婚に発展した。
北條円太郎:すずの舅。海軍の技師で穏やかな為人。
北條サン:すずの姑。足を患って家に引きこもりがちではあっても、すずの家事を手伝い、ひとりで嫁いできたすずのことを何かと気遣っていた。
黒村径子:秀作の姉で、気の強い美人。夫が亡くなったことから息子の久夫を残して晴美を連れ出戻ってきた。
黒村晴美:径子の娘で、すずに良くなついた可愛い女の子。
白木リン:呉の街の遊女。かつてすずと出会ったかのような描写があった。周作とはどこか縁でがあったと思われ、すずはやきもちのような気持ちを抱えていた。
この世界の片隅にのあらすじ(簡単な話の内容)
昭和18年、広島に住む浦野すずは降ってわいたようなお見合いで「北條周作という海軍に勤める録事(書記官)」と結婚することになり、呉に嫁ぎました。
海と坂の街・呉は海軍の軍港であり、戦時下でもそれなりに栄えていた土地だったのです。
少々おっちょこちょいではあるものの、働き者のすずは舅らに可愛がられ、幸せにくらしていました。
秀作の姉・径子が出戻ってきたり、絵を描くことが好きなすずが海をスケッチして憲兵にスパイかと疑われるなど、小さいトラブルはありましたが、のんびり屋のすずは毎日のおさんどんと、義母の世話、径子の娘・晴美との交流で日々はあわただしく過ぎていったのです。
ある日、すずは春海を伴って出た先で空襲に遭遇し、自らは右腕を…そして晴美は命を失ってしまったのですが…。
「この世界の片隅に」はアニメ化、ドラマ化、漫画化もされています。かなり良い作品なので子供から大人までみんなに見て欲しいです!
本のテーマ(主題・キーワード)
・戦争、原爆、広島
・平和
・女性の逞しさ、強さ
・家族の絆
読書感想文の書き方やコツ
この作品の中には、戦時下の日常の淡々とした時間と、終盤の呉の空襲や原爆といった激しい描写があり、そのどちらもが当時の呉や広島に暮らしていた人々の生活だったのだと思われます。
そのどちらに着目していくかで、感想文の在り方も随分変わるのではないでしょうか。
その他、「もしも自分が主人公のすずだったら…」を考えると書きやすいですよ♪
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)
題名(タイトル):そんな時代のちいさな幸せ
最初にこの作品に触れたのは家に置いてあったマンガです。表紙の淡い色使いは美しく、そして優しいタッチの線で描かれたふんわりとした童話のような物語だと思っていたのですが、読み進めていくうちに、それがとんでもない誤解で、頭をひっぱたかれたかのような衝撃を受けました。戦時下のささやかな幸せは、まさに風前の灯火であったのだと思い知らされた時の衝撃は、忘れられません。生きること、生活することと、死がまさに背中合わせのようで「行ってきます」と家を出た家族が帰ってこないかもしれない確率が恐ろしい程に高かったのだという現実を、目の前に突き付けられたからです。
私は小説と同時にアニメやドラマの作品も並行して観ましたが、同じ作品を文章で読むとまた雰囲気が変わるものだなぁ、と感じました。また、隙間を埋めるように文章で読むことの楽しさを感じました。恐らくこうの史代さんのコマとコマの間にあったのは、こんな意味や感情だったんだろうな、というところが補完されていて、かみ砕いてその世界のことを教えてくれているように感じました。
私が最も好きなのは、すずさんが家事をしているシーンです。少ない食料を補うために道端の花や葉っぱを摘んできて、どうしたら美味しく食べられるだろうか、と頑張って考えているところや、もんぺを縫うところ。決して器用ではないすずさんが、新米の主婦として奮闘しているところです。
頑張ったけど美味しくできなかった残念なご飯に、それでも文句を言わず我慢してみんなで食べているところは、ひとりで嫁いできて家族の中でも周囲からもスタンドアローンになるかもしれないすずさんが、とても大切にされているんだろうなぁ、とほっとした気持ちになり。実家から持たせてもらった着物にはさみを入れてもんぺを作っているところは、濃やかな気配りで少しの端切れも無駄にしない気遣いが読み取れます。
後半のしんどいシーンを読んでから、改めてこの辺りを振り返ると、慎ましさと濃やかさがじわじわと伝わってきて、「こんなに普通の人がどうして酷い目に遭わなければならなかったのか」という理不尽さがより一層際立って見えてくるのです。
最初、好きになれなかった人がいます。周作のお姉さん、径子さんです。何もかもがすずさんとは正反対で、美人で有能で、気が強く、若い頃には“モガ”として颯爽と働いていた、今でいうところのバリキャリのひとでした。恋愛結婚した夫が亡くなってしまい、息子を跡取りとして奪われ、娘の晴美と二人で北條家に出戻ってきたことで、すずさんはいろいろ苦労が増えますが、次第に晴美ちゃんと打ち解け、家族としての輪が作られていきました。
径子さんは意地悪というわけではないのです。自分がしゃきしゃきと動ける人だから、のんびりおっとりのすずさんのことが気になって仕方がないのでしょう。息子と別れた時の悲しみをみると、母親としてとても情の深い人だったことがわかりますし。春海ちゃんとすずさんが一緒に出掛けた先で空襲に遭い、無残なことになってしまった時の慟哭は、守り切れなかったすずさんに向けられてしまったけれど、それは、きっと誰もが同じことをすると思うのです。
径子さんは、賢い人でした。だから、その理不尽を噛みしめて、晴美ちゃんと同じ痛みを噛みしめて生き残ってしまったすずさんに、自分で生きる道を決めるようにと言葉をかけ、身づくろいを手伝い、なにくれとなく気遣うようになっていくのです。
反対に、すずさんは、大切なものをいろいろ失ったうえで、戦争が終わってしまったことを知り、初めて大きな声で泣きわめきました。悔しさと、悲しさが迸るようなその叫びは、文字になるとより一層胸に刺さります。そのすずさんを一番近くで支えてくれていたのが、実は径子さんでした。失ってしまったすずさんの右手と、晴美の存在。ぽっかりと空いた穴を埋めるかのように、径子さんは働き始め、家族のために生きるようになっていったのだと思います。
メディアミックスならではのこうした作品では、映画やドラマで臨場感を味わい、またリアルさを知ることも大切ですが、改めて文字を読み、言葉を噛みしめて想像力を膨らめることも大切だと感じました。戦争の生き証人がどんどん減っていきます。疑似体験でも良いから、今、昭和のあの時代のことをもっと知る機会を増やさなければ、と思っています。
あらすじ部分が少し多いですね。もう少し自分の体験や本から学んだことを書けるとさらに良いかなぁと思います。
*コピペ、丸写し、パクリ、無断転載は禁止ですよ。頑張って自分で書きましょう!
この世界の片隅にの読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
「この世界の片隅に」は戦争中も強くたくましく生きるすずの姿が描かれています。
できたら小説だけではなく、コミック、アニメと全部見て欲しいです。
子供も大人も何かしら感じるものがありますので、感じたことをそもまま書くと良いですよ。
頑張ってくださいね!
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