この記事では「告白(著者:湊かなえ)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
また、一緒に「告白の読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
賛否両論ある「告白」。「面白い」と感じる人もいれば「胸くそ悪い」と感じる人もいるでしょうが、「最後まで一気に読み終えることができる作品」には違いありません。
告白の登場人物
森口悠子
S中学の理科教諭。1年B組の担任。
恋人の忘れ形見の一人娘・愛美を育てていたが、事故で失ってしまう。
森口愛美
悠子の娘。中学のプールに沈んでいるところを発見された。
桜宮正義
英語教師。
過酷な成育歴を経て奔放な教育者としてマスメディアの注目を集めていたが、若くしてHIVに感染し、エイズで死去。
悠子とは前任校で共に働いていた縁で婚約し、愛美を授かりながらも、結婚を断念していた。
渡辺修哉(少年A)
定期テストで一位を取るほど成績優秀だが傲慢な性格の少年。愛美の死の原因を作った。
両親が離婚しており、生母は優秀な研究者で、離れて暮らす今でも憧れのような気持ちを込めて愛していた。
下村直樹(少年B)
朗らかで人気者の少年と思われていたが、彼を溺愛する毒母からの理想と期待のプレッシャーが強く、その歪みから愛美を殺害するに至った。
寺田良輝
2年B組の担任。森口が辞めた後のクラスをそのまま引き継いだ若手教師。
テンション高めで生徒達の兄貴分を気取り、自らをウェルテル(良=WELL、輝=テル)と呼ばせている。
桜宮の教え子で、彼に心酔している。
告白のあらすじ(簡単な話の内容)
とある二月の寒い夜、ひとりの幼い女の子がS中学校のプールに沈んでいるのが見つかりました。
彼女は教員の森口悠子の一人娘でした。
その事件の犯人は、森口が担任を務めるクラスの生徒達だったのです。
シングルマザーであった森口は、大切な許婚の忘れ形見だった娘の死に対する復讐を企みます。
直截なやり方ではありません。
だれもがぞっとするだろう方法をわざわざ選び、そして実行したのです。
そして、明らかになっていくのは実行犯だった少年Aと少年Bの姿です。
クラス替えがないままに進級したころ、次第に彼らを遠巻きにして仲間割れのようになっていく生徒たちの姿がありました。
孤立を深めていくAやBと、その周囲の大人たちの歪んだ姿が炙り出されていく中で、事態は恐らく森口が予想していた以上の波紋を広げ、生徒達を呑み込んでいくのです。
告白は映画化もされていますので、こちらを先に見るのもありです。ただし[R15+]で、15歳以上しか見ることはできません。注意してくださいね。
本のテーマ(主題・キーワード)
・復讐、人の心の醜さ
・親子愛、毒親
・サスペンス
読書感想文の書き方やコツ
全体を見るととても長くて複雑なので、誰に注目して読むかで大きく様相を変えてくる物語です。
大人の立場か、生徒の立場か。
舞台が学校なので、シーンごとに自分がどこに立つかを考えて読むと、まとめやすいかもしれません。
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)
題名(タイトル):“子供”の中にも闇は育つ
中学生は子供です。親に守られ、学校に守られ、少年法にも守られている・・・はずだと思っていました。でも、大人ではなく小さな子供でもない中途半端なこの時期に、たたみかけるようにこんなにも恐ろしいことが起こるのか、と思うと、読んでいて背中がぞわぞわする気持ち悪さが拭えませんでした。メインのキャラクター達と、それを取り巻く人々の心の中には残酷でズルくてどうしようもない闇が広がっていたのです。
この物語には、実の親に捨てられた子Aと、また実の母親に溺愛と執着で息が詰まる寸前の子Bが、とんでもない事件を起こすことから始まる復讐劇です。自分の高すぎる自己評価とプライド、それと真逆な劣等感でゴリゴリに固まったAは、担任である森口先生が思ったように評価をしてくれなかったことを恨み、その娘である幼い女の子に攻撃の矛先を向け、Bもまたその尻馬に乗ってプールに突き落としました。二月の寒い夜、彼女は冷たくなって発見されたのです。
よく、中二病(厨二病)と言われる年齢に差し掛かって、確かにいろいろな変化を持て余す人はいて、劣等感や万能感といった複雑な内面がいろいろに混ざり合う年齢層だということは実感しますが。活字の中で表されていく彼らの行いの不気味さ、得体の知れなさはとうてい理解できるものではなく、ゆがみと亀裂の向こう側にちらちら見えるものが気持ち悪くて仕方がありません。
確かに、彼らがそれぞれに抱えてきた親たちとの関係や、それまでの時間には同情せざるを得ない点があったとしても。考えていることや、してしまったことに対しては、到底納得も許容もできるものではありませんでした。
周囲の、同じクラスの生徒らの殆どは巻き込まれたも同然です。AとBの行いに気付いた森口は、物語冒頭で壮大な復讐を仕掛けます。彼女が愛していた娘の父親である許婚の死と、その忘れ形見だった娘をこんな形で失ってしまった哀しみの全てをまとめて、静かにクラス全員にぶつけて、ぶちまけて、静かに姿を消すのです。
当事者らはもちろん、他の生徒たちもどうすることもできずにその恐怖に晒されて、毎日を恐怖で過ごすことになるのですが。新たに彼らの前に現れた若い男性教師「ウェルテル」は、彼らの恐怖を我知らず逆なでしてしまい、知らない間に自分の足元に大きな落とし穴を自ら掘ってしまうのです。
そうこうするうちに、森口がまいた種はじわじわと芽吹き、根を張り、学校の表側から見えないところで生徒たちにいろんな影響を与え始めたのです。失うものがなくなると強い、というのは彼女のその状況のことを言うのではないかと思うほど、そのやり方は巧妙で、その日、その時にすぐに結果が出るのではなく、どうしたら相手が悩み、苦しみ、その根源を考えるところに墜とせるか、ということを考え抜いたプランだった、と言えるでしょう。
大切な娘を守れず、死なせてしまった後悔が大きいだけ、AとB、そして取り巻く生徒らにむけたどす黒い感情は読む側の体温がすーっと冷えていくような感じを与えます。しかし、彼女にそうさせたのは、紛れもなく「子供たち」だったのです。
子供は守られるものだと思ってきました。成長して大人になるまで見守られ、育ててもらうのが当たり前だと。しかし、この作品の中に出てくる子供たちはたまたま同じ学校の教室に集められただけで、それぞれに自分では解決できないほどの問題を抱えていたのです。
そして、全国にはこういった問題を抱えている子供がたくさんいます。いえ、全国ではなく、私達の教室にも大なり小なり似たような問題を抱えている子供がいるはずです。告白の中で「異常者」として出てきている登場人物達は、決して異常者なのではなく、「誰もが陥る可能性がある状態」なんだと思います。きっと私も、そして私の友達も、なにか一つでもネジが狂うと陥ってしまうのでしょう。そう思うととても怖いです。
そうならないためにも、普段から親と本音で会話したり、もし親とトラブルが起きたときは周りの友達や大人に手助けを求めることが大切なんだと思います。親友、両親、教師、部活のコーチ、塾の先生、叔父や叔母、祖父母、私の周りには頼りになる人がたくさんいます。今は知らない人でも市役所などに行けば相談員等もいます。誰もが持っている闇に落ちてしまわないためにも、もし今後なにかのトラブルに巻き込まれそうになったら、「助けてくれる周りの人」に頼ろうと思います。
あらすじ部分が多すぎますね。もう少し自分の感想や体験談などを増やすといいでしょう。
*パクリ、無断転載、丸写し、コピペ等は禁止ですよ。
告白の読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
告白は「誰もが持っている闇」をさらけ出した物語です。
読む人によっては否定的な感想を抱くかもしれませんが、それはそれで構いません。
「なぜそう思ったのか」を一緒に書くと立派な読書感想文になりますよ。
頑張ってくださいね。
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