この記事では「人魚の眠る家(著者:東野圭吾)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
また、一緒に「人魚の眠る家の読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
人魚の眠る家は2018年に映画化もされている話題の小説です
人魚の眠る家の登場人物
播磨瑞穂:小学校入学を目前にして、プールで溺れて脳死状態から植物状態に陥るが、最新医療機器と、母や周囲の介護のおかげで長らえる。
播磨薫子:瑞穂の母。和昌との結婚生活は既に破綻しており、瑞穂の小学校受験が終わったら離婚するつもりだった。
播磨和昌:瑞穂の父。IT系メーカー・ハリマテクスを父親から引き継いで経営している社長。基本、仕事人間で家族を顧みることなく、浮気がバレたことで離婚目前になっている。
播磨生人:瑞穂の弟。姉のことで周囲からいじめられるようになる。
星野裕也:ハリマテクス社員で、障碍者支援のための技術の研究をしているエンジニア。
川嶋真緒:星野の恋人。瑞穂の為に仕事に没頭していく星野に不安を覚え、播磨家を訪れる。
美晴:薫子の妹。
千鶴子:薫子の母。瑞穂をプールに連れて行ったことを悔やんでいる。
若葉:美晴の娘で、瑞穂の従姉妹。瑞穂の事故に責任を感じている。
播磨多津朗:和昌の父親。ハリマテクスの初代・創業者。
人魚の眠る家のあらすじ(簡単な話の内容)
幼い一人の女の子・瑞穂がプールで溺れ、脳死状態に陥りました。
医師からは二度と目を覚ます可能性がないことを告げられ、家族はその死を受け入れ、臓器提供を行うか否かという決断を迫られることになります。
母親の薫子はその現実を受け止めることができずにいる時に、瑞穂の手がわずかに動いたことに気付いてしまったのです。
薫子の夫・和昌はIT企業の社長であり、その財力を持って自宅での瑞穂の介護を可能にします。
さらに会社で研究している最新機器で瑞穂の人工呼吸器を外し、電気信号でその身体を動かすことができるようにしていったのです。
まるで、ただ眠っているだけのように見える瑞穂は、その肌や髪もつやつやで、年齢相応に成長しているというのです。
確かにその心臓は動いているものの、薫子は瑞穂を連れて外に出て周囲を混乱させ、その軋轢は瑞穂の弟・生人にも影響してしまいます。
生きているのか、そうでないのか。
人の道をこえてしまったかに見えた薫子の“愛”は、瑞穂の本当の“生命”をつなぐために苦渋の選択をしていくことになるのです。
東野圭吾さんの作品なので読みやすい方です。とはいえ、小説が苦手な人はDVDから入ってみるのも良いですね
本のテーマ(主題)
・ミステリー
・臓器提供
・生と死
・価値観
読書感想文の書き方やコツ
人魚の眠る家は「誰の視点で読むか」で、ものの見え方が全く変わる物語です。
母親の薫子に自分を重ねると、大切な娘を生き返らせたい気持ちも理解できる気がしてきますが、父親の和昌の目線から見ていくと、母親の献身的な介護に鬼気迫るものを感じて、正直、引いてしまうかもしれません。
また、弟の視点に立って読むとまた感想が変わってきます。
読むたびに誰に自分を投影するかで印象が全然違うので、何度か読んでみて、一番しっくりするスタンスを見つけてから感想をまとめることをお勧めします。
「自分の大切な人がもし脳死状態になり、人工で動かせることができたらどうするか?」という視点で書いてみても面白いかもしれません。
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)
題名(タイトル):人魚は夢を見ていたのだろうか
「脳死」とは、脳の機能が回復不能までに低下してしまっているけど、心臓は動いている(身体は生きている)という状態です。日本で臓器移植ができるようになった当初はあまり馴染みのない言葉だったそうですが、今ではドナーカードが身近になったことや、ドラマ、テレビCMの影響で一般的に知られるようになりました。
ひと言に脳死と言っても、その状態は個々に大きく異なり、呼吸器をつけていてもあっという間に死に至る人もいれば、ただひたすら眠ったように見える、まさに瑞穂のような状態で20年以上長らえてしまった人もいたという記録があります。それを考えると、普通に生きていること、暮らしていることが奇跡のように思えてきます。
さて、僕も脳死やドナーカードの存在はなんとなく知っています。でも、「脳死」について考えたことは一度もありませんでした。今回は僕は「人魚の眠る家」を読み、実際に家族とドナーカードや臓器提供について話してみました。すると、家族みんな意見が異なりビックリしました。
父親は「自分が死んでも家族が死んでも、臓器提供はしたくない」と言い、母親は「自分の臓器は提供してもいいけど、家族の臓器は提供したくない」と言いました。姉は「自分の臓器も家族の臓器も、それで困った人が助かるなら提供してもいい」と言いました。
また、父親と母親は「自分が脳死状態ならそれが死でいいけど、家族が脳死状態になったら介護を続けるかもしれない」と主張し、姉は「脳死はもう死んでいるってことだよ」と主張しました。
僕自身も姉と一緒で、僕がもし交通事故などで脳死状態になったらそれは「死」だと思っていいし、僕の臓器は病気で苦しむ他の子供達に提供してあげて欲しいと思います。
でも、もし僕の大切な家族……母親や父親、姉が交通事故にあって脳死になったらどうするだろう、と考えると姉のように「脳死=死」とは割り切れませんでした。世界には脳死になって数年後に回復した例もあります。もし大切な家族が回復する可能性が一パーセントでもあるなら、身体だけでも生きてほしいと感じてしまうかもしれません。
また、人魚の眠る家では母親の薫子が星野が提供した新しい技術を使って瑞穂の身体を段々と「普通の生きている子供」みたいに動かせるようにしていきます。瑞穂の意志に寄らず、薫子らが思うままに彼女の身体を動かし、微笑ませることまでが可能になっていくのです。僕はこの場面を最初に読んだ時、不気味だなと思いました。自分の意志とは関係なく身体を動かされる瑞穂は可愛そうだな、僕だったら絶対にそうなりたくないな、と感じたんです。
でも、家族と臓器提供について話し合って「もしも大切な人が脳死になってしまったら」と考えた今ではなんとなく薫子の気持ちもわかってしまいます。倫理的におかしいと思っていても、もし家族が脳死状態になったら僕も薫子と同じことをしてしまうかもしれません。
脳死は死なのか、臓器提供することは正しいことなのか。きっとこの答えに正解はないんだと思います。僕の家族がみんな意見が違ったように、人それぞれ答えは異なるはずです。だからこそ、ドナーカードで自分の意志を提示することが大切なんだと思いました。
幼い子どもがプールで溺れてしまうという事故は、毎年夏になるとニュースで流れます。また、交通事故に関しては全国各地で毎日のように起こっています。こんなことを言うのは不謹慎ですが、いつ僕自身や僕の大切な人が事故に合うかはわかりません。
筆者の東野圭吾さんがこの作品で投げかけたものは、脳死は実は誰の身にいつ起きてもおかしくないことなのに、みんな他人事のように思って考えることを放棄しているということではないでしょうか。
脳死というのはものすごく重たくてしんどいテーマです。今回、僕が家族と話し合ったときも重苦しい雰囲気になりました。でも、事故はいつ起こるかわかりません。そして、その時、家族や自分の想いを知っているのと知らないのとでは、その後の選択が異なってきます。
しんどかったけど、家族と脳死やドナーカードについて話し合えてよかったと思っています。こんな風に話し合う機会を与えてくれた人魚の眠る家に感謝したいです。そして、友達にもいざという時のために家族と話し合い、ドナーカードで自分の意志を表示した方がいいことを勧めようと思います。
重いテーマですが、このように「家族と脳死について話し合った結果を書いてみる」というのもオススメですよ。
*コピペ、無断転載、丸写し、パクリは禁止ですよ。参考にするだけにしてくださいね。
人魚の眠る家の読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
人魚の眠る家は「生と死」という重たいテーマですが、本自体は東野圭吾さんの作品ですし読みやすいです。
また、読書感想文も「家族と脳死について話し合ったり、自分だったらどうするか」等を考えて書くと書きやすいですよ。
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