この記事では「注文の多い料理店(著者:宮沢賢治)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
一緒に「注文の多い料理店の読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
宮沢賢治の代表作「注文の多い料理店」。小学校の教科書で読んだ人も多いでしょうから、読書感想文も書きやすいですよ♪
注文の多い料理店の登場人物
二人の青年紳士:イギリスの兵士のような服装に、ピカピカの銃を持っています。
若くて裕福で、東京から山奥に狩猟に来たのですが、何かあるごとにお金の事で文句ばかりを言っています。
案内人:紳士たちを狩場に案内していたと思われます。
猟犬:白熊のような二匹の狩猟犬
化け猫と手下たち:猫又?
注文の多い料理店のあらすじ(簡単な話の内容)
とある山奥に、二人の若い紳士が、イギリスの兵士のような恰好をして、ピカピカの銃をもち、狩りにやってきました。
獲物は全く捕れず、次第に周囲の様子が恐ろしい感じになってきた頃、連れていた二匹の白熊のような犬は泡を吹いて動かなくなり、頼りのガイドもはぐれてしまったのです。
紳士たちは宿に戻ろうとしたところ、道に迷い、心細さに加えて空腹を覚え、彷徨っていたのです。
その時、二人は目の前に立派な西洋風の館に行き当たりました。
「西洋料理 山猫軒」と書かれた看板を見て、二人は吸い込まれるように館に入って行ったのです。
誰もいないのに、廊下の先にはドアが続いています。
「当軒は注文の多い料理店ですからそこはご承知ください」
ドアに出会うたびに奇妙な注文が書かれているのです。
その注文をクリアすればご馳走にありつけるのかと思った紳士たちはその注文を守り、鉄砲と弾を置き、靴を脱ぎ、金属製のネクタイピンやカフスボタン、眼鏡や財布を指定の場所に置いていきます。
しまいには壺のクリームを全身にぬりたくり、次の壺の中の塩をたくさん揉み込むように…と書かれているところで流石に「おかしい!」と思い至りました。
好意的解釈を重ねて進んできたものの、ようやく自分たちこそが料理にされかけているのだと気づいたのですが…
本のテーマ(主題・キーワード)
・自分の都合が良いように解釈することの怖さ
・自分のことしか考えないことの醜さ
読書感想文の書き方やコツ
宮沢賢治の作品がもつ、明らかに日本国内の物語でありながら、どこか西洋の国の物語であるかのような独特の世界観。言葉の美しさ。そしてジワジワと忍び寄る恐怖。
それらをどう感じたのか…素直な気持ちで書くと良いでしょう。
また、「人間の解釈の都合の良さ」と、「惑わされる怖さ」をまとめられたら良いかなと思います。
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)*ネタバレあり
題名(タイトル):不思議な童話の中にある賢治の教訓
宮沢賢治の作品の多くは、彼の故郷であり、理想郷でもある岩手を舞台に書かれています。この作品も東京から遠く離れた山の中、ということで、恐らくは岩手の山深い場所をイメージして創作されたのでしょう。大正時代にこんな異国情緒あふれる絵画的な要素をたっぷり盛り込んで物語を書いている彼の頭の中の想像の世界は一体どれほどの広さと奥深さがあったのか、まさに想像ができません。
この童話の主人公である若い紳士たちにとって、狩猟は遊びです。わざわざ東京からそんな山奥に来るというのですから、相当裕福な育ちであろうことがわかります。しかし、お金の事ばかりを口にしているところを見ると、ちょっとばかり品がない、そこが残念なところです。彼らは、気づくと案内人ともはぐれ、連れていた白熊のような犬たちは泡を吹いて機能不全に陥ってしまい、腹を空かせて途方に暮れていました。そんな彼らが辿り着いたのは怪しさ満点だけど立派な風情の洋館です。宿にも戻れず、お腹も空いていた二人は吸い込まれるように入っていくのです。
誰もいないその館の廊下にはいくつもの扉があり、扉ごとに奇妙な注文が書かれています。まるでロールプレイングゲームのように、その注文をクリアしていかないとご馳走に辿り着けないのだ、と突き進んでいく紳士たち。
確かにこの山猫軒は「注文の多い料理店です」と宣言されていましたが。靴や服を脱ぐとか、銃と弾を置けとか、ネクタイピンや眼鏡、カフスを外せとか、どう考えても食事を味わうために必要なことではありません。そのため、読者は「この状況はどう考えてもまずいのでは?」と比較的早い段階で気づきます。
しかし、紳士たちはそのオーダーを実践し、それに対してまるで自らに言い訳をするようにその理由を考えて口に出していくのです。それは希望的観測であり、自己弁護であり、彼らは料理を食べたいがために、引き返さない理由をつらつらと重ねているように感じます。案の定、実は食べられるための下処理を自ら行う「ご馳走」になってしまうところだったのです。
この話を読んで直感したのが、近年に多発している災害です。台風による大雨と、それによる水害で、知っている場所も越水したり浸水したり、と、大きな被害がでました。被害の規模が予想を超えすぎていて、自治体ですら適切な避難情報を出せない状況にあって、目の前の状況と情報に対し、自分に都合の良い解釈をしてしまうことの危険性が情報番組などで散々語られてきています。
それらを見ていて思うのは、人は自分に都合の良いことしか見ようとしないし、奇妙な自信をもって誤った方向に突き進んでしまうこともあるのだ、ということです。「これくらいなら大丈夫」と思っても、一歩引いてみたり、客観視できれば、より安全な、例えば避難する場所や方法、立てるべき対策が見えてくるはずなのに、それに蓋をしてしまって、結果的に被害甚大という状況に陥ってしまう…場合によってはそれで命を落とすことすらあるのだということを、人はもっと自覚しなければならないのでは…?と思いました。
賢治が生きた岩手は雪深く、冷害などで苦しむことも多かった土地です。そして当時の山の中は今より危険が多かったはず。また、民話の宝庫として知られる遠野なども近いことから、彼は不思議な伝承も沢山知っていたはずです。私は、この作中の山猫は、日本でいうところの妖怪の猫又ではないかと考えているのですが。そうした表現を借りて、作者は真摯に生きるための多くの教訓を伝えようとしていたのかもしれないな、と感じたのです。
紳士たちは、東京に逃げ帰っても、紙屑のようになってしまった顔がなおらなかったとのことですが。これは彼らが犬たちをぞんざいに扱ったことや、山道を行く間も金の話ばかりで自然に対する畏敬の念を持たずに山に分け入ったことなどに対する罰、もしくは呪いだったのではないでしょうか。そうした部分を大切にしない人間に対しては、こういうしっぺがえしもあるんだよ、という賢治の声が聞こえてきそうです。
この読書感想文のように「自己都合で解釈すると危険がある」ということを書いてみても良いですね。
*コピペ、丸写し、無断転載、パクリはダメですよ。参考にする程度にしましょう。
注文の多い料理店の読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
注文の多い料理店では「自分の都合が良いように解釈しすぎる怖さ」も書かれています。
近年の災害の多さをとりあげて「自然災害を楽観視せずに用心した方がいいこと」「もし災害が起きたらどう行動したら良いか」などを一緒に書くのもオススメですよ。
頑張ってくださいね。
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