この記事では「コンビニ人間(著者:村田沙耶香)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
また、一緒に「コンビニ人間の読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
コンビニ人間は本屋大賞受賞作品。文体が読みやすいですので、小説が苦手な人にもオススメですよ。
コンビニ人間の登場人物
・古倉恵子:主人公の女性で18年間コンビニでアルバイトをしている。彼氏なしの36歳。
・白羽:婚活目的で恵子のバイト先に入ってきた男性。のちに恵子と同棲を始める。
・恵子の妹:姉を何かと心配している。結婚していて一児の母。
・店長:恵子が働くコンビニの店長をしている男性。
コンビニ人間のあらすじ(簡単な話の内容)
主人公の古倉恵子は18年間もコンビニでアルバイトを続けているアラフォー女性で、恋愛経験は皆無。
異常なまでにコンビニに依存した生活を送り、コンビニのマニュアルのようにこと細かい指示がないときちんと社会で生きることができない、「普通」がわからないと語る彼女は、家族や周囲の人々から心配されながらもコンビニ店員としてなんとか「世界の正常な歯車の一部」として生活している。
そんな彼女のバイト先にある日婚活目的で入った白羽という男が現れて、社会不適合者の二人が利害を一致させて奇妙な同棲生活を始める。
うまくいったかのように見えたが、コンビニを手放した彼女は何をして過ごせばいいかわからなくなり困惑し、ついに「私はコンビニ人間である」ということを悟る。
本のテーマ(主題)
・普通とは何か
・価値観の違い
読書感想文の書き方やコツ
読みやすいけれどかなり現代社会の闇の部分に触れた作品で考えさせられる作品だと思うので、「この作品を読んで自分は何を感じたか、これからの社会を生きる上でどうしていけばいいか」を軸に考えると書きやすいと思います。
また、「自分にとって普通のことは何か」や「他人と自分の価値観の違い」について書いてみるのも面白いかなぁと思います。
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)
題名(タイトル):「普通」とは何か
「普通ってなんだろう」これがこの本を読んだ時に私の頭の中に浮かんだ疑問でした。
主人公の古倉恵子は18年間もコンビニでアルバイトを続けているアラフォー女性。初めの方は特に秀でた特徴のない「普通」の人物だと思ったのですが、異常なまでにコンビニに執着した生活を送り、コンビニの「マニュアル」がないときちんと生きられない彼女は、特殊で壮絶な悩みを抱えているんだと徐々に理解しました。
この作品は200ページもない短編小説で、芥川賞受賞作品ではあるけれど難しい言葉遣いも少なかったため、あっという間に読み終えてしまいました。でも、現代社会の問題を巧みに表現していて、「普通ってなんだろう」と読み終わった後に私をとても悩ませ、考えさせられました。
この作品では恵子の他に、白羽という男もストーカのような行為をするため周りの人から気味悪がられ、「普通ではない人・異物」として分類されます。しかし彼は自分を縛り付ける「普通」を嫌いながらも結局は「普通」なることを望んでいて、最終的には同棲していた恵子を見捨て、恵子を非難する側に回りました。同じ「普通ではない人」でも恵子と白羽で差が見られたことはとても面白いなと思いました。
どうしてコンビニでずっと働いて結婚をしていないだけなのに、恵子は家族からは心配されて、周りの人には気を使わせたり不信がられたりするのでしょうか。そんなにも結婚して普通に家庭を持つことが大切なのでしょうか。それに悩んだ末、白羽と同棲を始めて妊娠まで試みようとした恵子はとてもかわいそうに思いました。
その一方で、「いつでもどこでもコンビニと繋がっている」と家にいても友達の家にいてもコンビニを恋しそうにしている恵子の姿は不気味で、「私も普通ではない恵子を非難する側の人間なのかもしれない」と少し怖くなりました。
作中で描かれている「普通ではない恵子を非難する側の人間」は、例えば友達の旦那さんが結婚も就職もしない恵子に対して「それはやばいんじゃないか」と忠告した際に、夢中になるあまりバーベキューの肉に彼の唾液を飛び散らせている様子が描かれていたり、白羽の風貌がガリガリに痩せ細って不潔な感じに描かれていたりします。
恵子からすれば「普通の人々」もこの人たちのような一種の気持ち悪さを持っているということで、そこに私も含まれているのだろうかと考えると、少しゾッとしました。
これまでなんとなくみんなと同じことをしていれば、「普通」にしていれば大丈夫だと思っていた自分がいかに未熟であったか、恵子目線で描かれたこの『コンビニ人間』を読んで改めて気づかされました。
例えば、最近スポーツ等ではハーフの日本人の活躍が目立っています。恥ずかしい話、私は最初「ハーフの日本人」が活躍するのに違和感がありました。半分は日本人の血が流れているとしても見た目は外国人のようだったので彼らが日本代表を名乗るのが変な感じがしたんです。
しかし、テレビで彼らのドキュメンタリーを見ると、外国語ではなく日本語を話していましたし、しかもとても礼儀正しい人でした。メンタル面でも武士のように強く、私よりもよっぽど日本人の心を持っていたのです。そのことに気づいた時、私は勝手な価値観で彼らを「日本人とは少し違う」と決めつけていた自分が恥ずかしくなりました。
また、最後に「私はコンビニ人間だ」と一生コンビニ店員として生きていくことを誓った姿は、自分のやりたいことを全うできている格好いい存在のように私の目には映り、恵子が少し羨ましいとさえ思いました。このように『コンビニ人間』は私のこれまでの考え方を変えてくれたり新しい視点を与えてくれたりした作品だったのです。
グローバル化が急速に進んでいる現代の日本では、外国人の文化を受け入れようなどといった「多様性の受容」が必要とされつつあります。しかしそれよりもまず最初に日本人が意識するべきことは、恵子のような多くの人が選んだ生き方とは少し違った生き方をしている人を受け入れること、つまり「日本人の中にある多様性の受容」なのではないのかなと、私は『コンビニ人間』を読んで強く思いました。
きっと多くの人が信じてやまない「普通」というものは必ずしも正しいわけではないはずです。人と少し違うことを気味悪がるのではなくて受け入れること。これはいじめや犯罪、戦争などを減らす一つの解決策になると、私は信じています。
「自分にとっての普通は何か」「普通と思っていたことが実は普通じゃなかった」といった経験があれば、そちらを題材に書いてもいいですね。
*コピペ、パクリ、無断転載、丸写しはダメですよ。参考にする程度にしましょう。
コンビニ人間の読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
コンビニ人間は「普通とは何か」を考えさせてくれる作品です。
「自分にとって普通だけど、他人からしたら普通じゃないこと」「自分の間違った価値観」等があれば、そういったことを軸にすると読書感想文も書きやすいですよ。
頑張ってくださいね。
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