この記事では「レインツリーの国(著者:有川浩)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
また、一緒に「レインツリーの国の読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
聴覚障害を持つ少女との恋愛の物語。甘く切ない内容に泣けること必須です!
レインツリーの国の登場人物
向坂伸行(さきさかのぶゆき)
昔読んだ「フェアリーゲーム」というライトノベルが忘れられず、ネットでその作品の検索をしていたら「レインツリーの国」というブログに出会う。
ブログ主の利香と出会い、その難聴というハンディに戸惑いながらも、彼女のことを大切に思い続けている。
人見利香(ひとみりか)
「レインツリーの国」というブログを持っている。
高校生の時に事故で難聴を患い、補聴器を使っているが、人に見られたくないために髪を伸ばしている。
ネット上で伸行と出会い、「フェアリーゲーム」について熱く語りあったのちにオフでも合うようになり、恋に落ちるが、自信のなさや抱えた障害、コンプレックスで真っ直ぐに向き合えずにいる。
レインツリーの国のあらすじ(簡単な話の内容)
中学生の頃に好きだったライトノベル「フェアリーゲーム」を思い出した向坂伸行は、ネットでその本についての情報を検索し始めました。
やがて、その作品に関する感想を書いているブログ「レインツリーの国」を見つけると、管理人の女性・ひとみとメールでのやり取りがはじまったのです。
思いがけず、歳も近く、互いに都内にいることが分かって、本の話で盛り上がり、意気投合しました。
伸行は直接会って話がしてみたいという気持ちが募りますが、警戒されたのか、ひとみからはいい返事がありません。
会うのがダメなら電話でも、と伸行が提案しますが、その時点でやっと会う約束がとりつけられたのです。
その日、ぎこちない“デート”が始まりました。
途切れがちな会話は、最初は伸行の関西訛りのせいかと思われていましたが、本当の理由は彼女の長い髪の下に隠されていたのです。
補聴器。
彼女は事故で聴力を失い、健常者に比べたら聞えづらい耳を抱えて生きていたのです。
そんな彼女との恋は、障壁だらけのダンジョンのようでした。
「レインツリーの国」は映画化されています。涙が止まらなくなる良作です。小説が苦手な人ならこちらを先に見るのもオススメですよ。
本のテーマ(主題・キーワード)
・恋愛
・聴覚障害
・偏見、差別
・「図書館戦争」とのコラボレーション小説
読書感想文の書き方やコツ
本作は、図書館戦争シリーズのスピンオフ作品としても知られています。
「聴覚障害を抱えた女の子が、普通に恋をする話」なのですが。
そのハンディを共に見据えて、個性の一つのような形で受け止めようとする伸行の心の動きに注目してみると、健常者として当たり前に見ていた世界が違って見えてくるように感じます。
「恋愛」に着目して書いてもいいですし、「聴覚障害」に着目して書いもいいですよ。書きやすい方を選ぶといいでしょう。
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)
題名(タイトル):ある、ありふれた恋の物語
大人も読めるライトノベルを目指す、というポリシーの元に人気作家となった有川浩さんが、大人気シリーズ「図書館戦争」の作中で小道具のように用いた架空の小説をリアルに出版したのが本作です。「図書館戦争」でも、本作「レインツリーの国」でも、そこで恋をしているのは聴覚障害を抱えて自分に殻を作って思い悩んでいる女の子たちなのです。
本作のヒロイン、人見利香は登山中の事故で聴力を失います。補聴器を付けることである程度までは聞えるようにはなりましたが、健常者のようにはいきません。しかし、その微妙な差異が、まるで詐病のように扱われたり、弱者として軽んじられ、さらに貶められた経験から、コンプレックスの塊を抱えて小さくなって生きてきたのです。
ネット上ではのびのびと好きなことを語り合えたのに、会って話をしようとすると、聞こえないことが大きな障壁になってしまう。その悲しみは、当たり前に「聞こえる」人には理解してもらえないと思い込んで分厚い殻を作り、自分を守ってさらに背中を丸めるように、ひとみは小さくなって暮らしていたのです。
古いライトノベルの本が結び付けた伸行とひとみのやり取りは、ネット上ではとてものびやかで生き生きとしていたのに、対面してみたら、同じ人とは思えないギャップが立ちふさがりました。そこにあったのは日常の裏側にへばりつくようにある「差別」という問題です。
ひとみが味わってきた苦難は、おそらく伸行にはすべて理解することはできないでしょう。しかし、伸行はまず知り合ったきっかけのネットの上で、フラットに話が出来たことで、彼女の本質を、全てではないにせよ見てきていたのです。同じライトノベルを読んで、共感した経験から、ひとみのことを伸行は「得難い存在」と思ったのかもしれません。
健常者どうしの恋でも、想いはそう簡単には伝わらないものです。その障壁をこえたり、突き崩さなければ前に進めず、成就されない恋は成就した何倍もの数が転がっているはずです。つまり、この作品で綴られているひとみと伸行の恋は、視点を変えて見てみれば、そんなありふれた恋物語に見えてくるのでは、と思うのです。
聴覚障害は、聞える人には想像できないほどの哀しみがあるはずです。しかし伸行にとって、ひとみは、拒絶されたからといって素直に諦められるような存在ではありませんでした。だから彼は懸命に考えて、考え続けて、今の彼にできることを模索していき、ひとみにアプローチしていったのです。その間に、少しずつ明らかになっていくひとみの過去に心を痛め、そっと寄り添うように、語り掛けるように、辛抱強く待っていた、その描写には、ぐっと心臓を鷲掴みにされるような共感と、感動を覚えました。
聴覚が心許ない分だけ、ひとみは言葉をとても大切にしています。だから、ネット上での彼女の印象は闊達で反応が良く、足りないものを補うツールがあれば、いかようにも乗り越えていけるのではないか、と思ったのです。
まずは髪を切り、そのヘアに合う服を揃えてみる。たったそれだけでも、彼女にとってはとてつもない冒険だったはずです。耳に着けている補聴器を人に見られたくない、という哀しみをそんなに簡単に理解してもらえるはずがないことは、ひとみはそれまでの経験で嫌というほど味わってきたのでしょう。
だからこそそういうものを気にせずにやり取りできた伸行は、ひとみにとってはスペシャルな存在でした。哀れみもせず、しかし、手を差し伸べ、語り掛け、寄り添い、彼女のために心を砕いてくれた人。その聴覚障害があったとしても、寄り添い、手をつなぎ、その一つ一つに一喜一憂するひとみ、そして伸行。
読み終わった時に「あれ?」と思いました。「なんだ、これ、普通の恋物語じゃん?」と。好きな相手のために心を砕き、相手の気持ちを汲み取る努力を惜しまない伸行のありかたは、恋だけでなく、きっといろいろなことに発揮されているはず。
そして聴覚障害は、決して他人ごとではないという事実もあります。ひとみの場合は事故でしたが、図書館戦争に登場する女の子は原因不明の突発性難聴で聴力をあっという間に失ってしまったのです。だから、この恋は、ある意味特別だけれど、でも誰にでもふりかかる、きっとごくごく普通の恋の物語なんだよ、ということを有川さんは訴えているのだと思うのです。
ちょっと「あらすじと感想だけ」になってしまっていますね。もう少し「自分の体験や本を読んで学んだこと」を書けるとよいと思います。
*コピペ、丸写し、パクリ、無断転載はダメですよ。自分で頑張って書きましょうね。
レインツリーの国の読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
レインツリーの国は「聴覚障害を持った少女との恋愛物語」です。
ですが、障害があろうとなかろうと「相手を思いやることが大切」だということを教えてくれます。
「誰かを思いやることの大切さ」を考えると書きやすいと思いますよ。
頑張ってくださいね。
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