この記事では「羅生門(著者:芥川龍之介)」で読書感想文を書く時のポイントを紹介しています。
また、一緒に「羅生門の読書感想文例文(中学生・高校生向け)」も紹介していますので、参考にしてくださいね。
国語の教科書にも掲載されている羅生門。芥川龍之介が言う「生きるための勇気」とは何なのでしょう?
羅生門の登場人物
下人(げにん): 雇い主に追い出され仕事もなく、途方に暮れている男。
老婆:羅生門の下に潜んでいる、猿のような老女。生きるために若い女の死体から髪を奪ってカツラを作り、売ろうとしていた。
若い女(死者):生前、生きるために蛇を魚と偽って売っていた。
羅生門のあらすじ(簡単な話の内容)
平安時代の京の都は天才が続き、人々が飢え、荒れ放題でした。
ある日の夕暮れ時、一人の下人が都の羅生門の軒下で雨宿りをしていました。
彼は仕事をクビになり、住むところも、食べるものもなく、しかし盗賊になる勇気もなく、絶望していたのです。
なんとか雨を凌いで寝る場所だけでも確保しようと門の中に入っていくと、猿のような老婆が累々と横たわる死体の群れの中で、こと切れた若い女の髪を引き抜いている場面に遭遇します。
老婆は生きるために、死人の髪でカツラを作って売るのだというのです。
「その女は蛇を魚と偽って売っていた。それは生きるために必要な悪だから仕方ない」
だから、この女の髪でカツラを作って売ることも、自分が生きるためには仕方がないことだ、というのです。
その話を聞いた下人の心には、それまでにない気持ちが沸き上がってきました。
自分が生きるためには仕方がないこと。
それを選択した彼がした行いは、老婆の着物をはぎ取ることだったのですが…。
羅生門は「漫画版」もありますよ。文体が少し古いので、読みにくいと感じる人は漫画を先に読んでみるのも良いですね。
本のテーマ(主題・キーワード)
・生きるための勇気とは何か
・悪とは何か
・善とは何か
読書感想文の書き方やコツ
主人公の下人の感情の変化に着目すると良いでしょう。
最初はまだ善良さを残しており、失業して途方に暮れながらも、盗賊になるほどの勇気はないと思っていた下人。
その下人がたった一人で地獄のような都の街に放り出されて、極限状態に陥った時に生まれる変貌ぶりを、芥川龍之介は「勇気」という言葉を使って表しています。
読書感想文例文(中学生向け2000文字以内)
題名(タイトル):羅生門には、鬼がいた
京都は今でこそ華やかな都というイメージですが、平安時代は嵐や竜巻が続き、荒れ果てていたそうです。都の入り口だったはずの羅生門も鬼が住むと言われているありさまだったのです。
そんなある夕暮れに、一人の下人が羅生門に現れました。仕事も住まいも失った彼は、ただ、今降っている雨を凌ぎ、寝場所を得ようとしたのです。そのとき彼の目の前にあったのは沢山の死体と、その中の若い女の頭から髪を引き抜いている老婆の姿でした。衝撃を受けた彼は正義感から老婆を取り押さえますが、生きるためにしていることだという老婆の言葉に次の衝撃を受けたのです。
下人は、自分が生き残るために盗賊になるような勇気を持ち合わせていませんでした。それでも正義の心で思わず取り押さえた老婆からさらに厳しい状況で生き抜いてきた者の言葉を聞き、彼は違う生き物に変貌を遂げてしまったのです。
「正しいこと」と「悪いこと」の狭間で揺れてしまった下人は、その選択の理由にただの善悪ではなく、自分の命をつなぐために何を選ぶのが「正しい」のかという究極の問題にぶちあたったのでしょう。老婆は悪びれることなく、その若い女の死体から髪を引き抜いてカツラを作り、売るのだというのです。なぜなら、その女も、かつて生きていたころに、干した蛇を魚の干物と偽って売っていた悪人だったから。しかしその悪事も、女が生き残るためにしたことであったのだから、自分がこうしてその女の髪を奪って何が悪いのだと主張しました。
この瞬間に、下人は自分が生き伸びるために、自分より悪いことをしている者であれば虐げてもよいのだという、彼にとっての最重要な「生きる」ための正義と勇気を見つけてしまったのです。それを勇気と言ってよいのか、私には判断が付きません。
幸いにも私は何かを盗まないと生きていけないような生活はしたことがありません。家に帰れば両親がおり、ご飯を出してくれます。洋服だって買ってもらえます。ですが、もし、下人のような極限な状態になったらどうでしょうか。
お金も、頼る人も、住まいもなく、明日生きれるかどうかもわからないような状況だったら、もしかしたら私も下人と同じような選択をしたかもしれません。現代の日本でしたら、そのような状況だったら福祉を頼ればいいとわかりますが、当時はそんなものもありません。
生きるか死ぬかの瀬戸際で、正義感を貫き通して死ぬことが良いのか、生きるためなら多少汚れたことをしてもいいのか、難しい選択なんだと思います。また、たとえ「生きるためなら何でもする」と心に思ったとしても、実際に行動できるかどうか私には自信がありません。行動できずに野垂れ死んでしまうかもです。
羅生門(らしょうもん)は、本来「羅城門(らじょうもん)」と呼ばれていたそうです。そこには平安時代から鬼が巣食うと言われてきました。本作とは別の「羅生門」という平安時代の謡いにもその鬼は登場しています。当時の荒れた都にはこの小説「羅生門」の下人や老婆のような人々の存在や哀しい出来事は日常の光景だったのではないでしょうか。人の本能として、それを見て「恐ろしい」と思った瞬間、その姿や表情が鬼に見えた、その例えが伝説になり、謡いになり、長く人の心に残ってきたのではないかと思うのです。
荒廃した時代に、人にとって一番怖いのは、当時恐れられていた怨霊や目に見えない物の怪より、生きている人間だったのではないでしょうか。隣にいる誰かが豹変するかもしれない。荒んだ都で生き延びるためには誰も信じられないのだとしたら、それは生きながら地獄を這いずり回っているのとかわりません。そうした思いを抱えて人々が見上げた羅生門には、確かに鬼がいたのです。
世界には「自分が生きるために他者を虐げるという選択しかできない人」がたくさんいます。飢えを凌ぐために盗みを働く子供達がたくさんいます。盗みはいけないことですが、そんな子供達を批判することは私にはできません。それよりも「どうやったら子供が盗みを働かずに生きていけるのか」を考えないといけないんだと思います。
もし裕福な大人が「飢えた子供や人がどうやったら悪事に手を染めずに生きていけるのか」ということを真剣に考えることができたら世界はもっと変るのだと思います。そうすると羅生門の鬼もいなくなるのではないでしょうか。
「自分が下人だったらどう行動するか」を考えて書いてみるのも良いですね!
*コピペ、無断転載、パクリ、丸写し等はNGですよ。
羅生門の読書感想文まとめ
いかがだったでしょうか?
羅生門は「自分が下人だったらどう行動するか」や「膳と悪」「生きるために悪事を働いていいのか」などを考えると書きやすいと思います。
頑張ってくださいね。
↓小学生向けの感想文はこちら↓
↓あなたにオススメの本↓
↓一緒に読みたい人気記事↓
コメント